kawaiiカード発見伝説:空翔ける雪花石の天使

ギャザのkawaiiカードを追っていくシリーズ第3弾。
炎の精霊。しぶい顔のおじさん。変な生き物。
日々『kawaii』に対する挑戦を続ける世界観に描かれる「Magic:the Gathering」…
そんな漢の世界にきらめく宝石、女性の描かれたカードを探す企画。
それがkawaiiカード発見伝説である。
日々の汚れを浴びる戦火で洗い流す諸兄の、ひとときの癒しとなりますように。
今回のカードはこれだ!!
2連続で使えないカードを特集してしまったので、
もっと最先端のカードを特集しなければと思い、今回こそ新しいカードから洗いだしてみた!
Angel of Flight Alabaster / 空翔ける雪花石の天使 (4)(白)
クリーチャー — 天使(Angel)
飛行
あなたのアップキープの開始時に、あなたはあなたの墓地にあるスピリット(Spirit)・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
4/4
最近見たカードでは一番kawaiiのポテンシャルを秘めていそうなカードだ。
イラストが空翔けてない時点で僕のkawaiiセンサーははちきれんばかりに膨張している。
いろんな事情がありそうだ!!はやく考察したい!
ちなみにこれはスタンダードで使用可能だったカードだ。
ちょっと前までな!!
空翔ける雪花石の天使とは
これは5マナの天使クリーチャーで、飛行4/4と満足できる戦闘能力を持つとともに、
毎ターン墓地のスピリット・カードを手札に戻して再利用できる能力を持っている。
この『毎ターン戻せる』という効果、考えるまでもなく大変に強い。
速攻を持つ《変わり身の狂戦士》が死んでも戻ってくるのでガンガン殴るなどのコンボもあるが、
実はクリーチャーという縛りが無いので《名も無き転置/Nameless Inversion》が戻せたりする。
これで毎ターンクリーチャー1体を+3/-3するおぞましさは想像するだけでちびる。
しかもこの子、自分に撃つと7/1の飛行になって空を翔けるのだ。
構築で5マナは重い気もするが、kawaiiので問題ない。
空翔ける雪花石の天使のkawaiiポイント
彼女はアヴァシンのいない状況に耐えて
やばい。
これ考察する必要ないんじゃないかな?
フレーバーテキストとイラストの時点ですでにPerfect kawaiiが完成しているように感じる…
アヴァシン?
すでにkawaiiの造詣に深い諸兄たちはすでに Perfect理解 されておられるとは思うが、
念のために、前項で筆者が何を感じていたのか、このあとの記事で説明していこう。
まずは登場人物について説明する。
(今回はかなり舞台設定に踏み込んでいくから長いぞ!注意だ!)
《希望の天使、アヴァシン/Avacyn, Angel of Hope》
「イニストラード」は中世ゴシック・ホラーをモチーフとした世界観の次元であり、人間と天使、吸血鬼と狼男が戦いながら生きている世界だ。
この世界観の中心人物であるソリン・マルコフ(プレインズウォーカー)は吸血鬼から人間を守るために希望の天使アヴァシンを作り出した。
(ソリン・マルコフ自身も吸血鬼であることを知ると、女性ではないもののkawaiiポイントを感じる)
彼女によってイニストラードの秩序は保たれていたが、新たな敵の出現によって世界は再び混沌の渦に巻き込まれる。
『滅びえぬもの』であるデーモンはたとえ殺しても再び再来し(ゲームカードでいうところの『不死』能力だ)、アヴァシンでさえ滅ぼすことができなかった。
そのため、彼女は『獄庫』と呼ばれる「時の流れの無い檻」に封印することでデーモンたちをイニストラードから消し去ろうとした。
これはすべての人間、そして天使たちにとって勝利への希望となった。
特に、直接人間たちを護るという使命に携わっていた雪花石の天使たちは争いの終結への期待に満ち溢れていた。
だがそれによってすべてのデーモンが封じられる前にアヴァシンを亡きものにするべく、グリセルブランドというデーモンが彼女の前に現れた。
戦いの末にグリセルブランドは『獄庫』へと吸い込まれていったが、アヴァシンも心臓を貫かれたまま、ともに封じられてしまった……
もし『獄庫』を開いてしまえば心臓の傷が進み、アヴァシンは死んでしまうかもしれない。そうなればイニストラードの世界を守ることはできない。
しかし、どちらにせよ彼女が不在のままでは聖なる魔法も、天使も力を失っていき、いずれは……
これがイニストラードの舞台設定である。
主の不在
さて、この戦いは一部の人間たち以外には伏せられていた。
(デーモンたちに知られてはならず、人々にアヴァシンの解放を求められることも避けたかったのだろう)
それゆえ人々は次第にアヴァシンと聖なる力への不信感や疑いの気持ちを募らせていた。
聖なる魔法も天使たちも、人間の信仰心によって姿を現すことができ、力を行使することができる。
アヴァシンの聖なる力は彼女自身が世界自体に存在しないことだけでなく、人間たちの不信感によっても失われはじめていた。
しかし天使たちは主の使命と望みのため、人間たちを救い続けていた。
その中には彼女―仮に名前を雪花ちゃんとしよう。
彼女もまた、死者の魂や人間たちに護りの魔法を施し、屍霊術やデーモンたちから守るという任務を果たしていた。
雪花ちゃんの奇行
しかし彼女は他の天使とは異なる行動をとっていた。
救い出したひとつひとつの魂に、アヴァシンの所在を尋ねていたのだ。
ここで重要なのが、 ”天使たちはアヴァシンの封印を知っていたかどうか” だ。
当然知っている。なぜなら、自らの力の弱まりに気づかないはずがないからだ。
本来なら聞こえてくるはずの、人間たちの魂の叫び、祈り。それらが感じられない。
救うべき魂を見つけ出すことさえ、いまの彼女たちには難しいことなのだ。
ではなぜ、雪花ちゃんはアヴァシンの所在を問うのか。
3つの理由
ひとつ。「アヴァシンを見た」という答えを求めるがゆえに出てしまった言葉説。
愛する主がいないことは彼女自身が一番理解しているにも関わらず、ありもしない可能性にかけて心の隙間を埋めているのだ…。
これが1つ目のkawaiiポイント。かなりの百合力(ゆりぢから)を感じるが、百合力がわからない人は聞き流していい。
ふたつめ
もしかすると「アヴァシンを探している」ということを示して人間たちを励ましているのかもしれない。
もはやアヴァシンはいない。存在しない。聖なる力はもう無い。そういった絶望に伏している人間たちに力の衰えの理由を説明するとともに、自分たちがアヴァシンを見つけようとしているという希望を与えようとしているのだ。
彼女が希望の天使の配下であることも含めて、筆者の一番お気に入りのkawaiiポイントだ。
逆に人間たちに絶望を与えているのでは…という手段であるあたり、もう本当に最高だ。
それほどにもう切羽詰っちゃってるのだ、雪花ちゃんは……ああ。たまらない。
ていうかむしろ希望が必要なのは彼女自身のほうなのではないのか。
WOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!
みっつめ
3つ目は名前に反してイラストが空翔けてないところから考えてみよう。
前述のとおり、天使としての力は弱まっている。
闇に呑まれつつある魂の声を聞くことさえ、もう彼女にはできない。
そう、すでに彼女は使命を果たせなくなっているのかもしれない。
だから(飛行は持っているが)空を飛んで、救うべき死者の魂を探しているイラストではないのだ。
そもそも世界にはびこるデーモン、狼男、吸血鬼、ゾンビたちと戦う力さえ足りていない。
そこで彼女たち雪花石の天使たちは、自分たちが護ってきたはずの人間の魂、スピリットたちを戦いのために解放したのだ。
自分たちが護るべきスピリットたちが、悪魔との戦いのさなか、次々と消えていく。
しかしそうしなければ、さらに多くの魂が闇に飲み込まれていってしまう……
もう限界なのだ。
はやくアヴァシンを見つけ、デーモンたちに対処してもらわなければ。
自分たちが救ったはずの、人間たちの魂を利用した戦いを。
あのデーモンたちと同じ穴の狢であることを。
仕方ないことだと、受け入れてしまいそうなのだ。
彼女は戦いの中で救い出した人間たちに尋ねる。
アヴァシンはどこか。私たちの希望はいったいどこへ行ってしまったのか…
そう尋ねることで、「今」があるべき状態でないことを自分に言い聞かせるために。
正常でない自分を律し、本来の任務に忠実な自分を保ち続けるために。
吐き出しどころのない気持ちを、その言葉の裏に込めて。
ka………
kawaiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!!!!!!!!!!!!!
ヒャッホーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
ウォウウォウ!!!!!!
なにこれ!なんなのこれ!
アヴァシン様はやく帰ってきてあげて!!!
いややっぱ帰ってこないで!もうちょっとこの子見てたいから!!!
いやでもかわいそう!!!やっぱ帰ってきて!!
ど ど ど ど う し た ら い い の ! !
まとめ
まぁそういうわけなので、幾多のkawaiiカードをたしなむ諸兄であっても、
この子が僕のイニストラードのモイストフェイバリッド kawaiiカードであることに異論ははさめないと思う。
ぜひともデッキに投入し、これらのポイントを諸兄の友人たちに熱弁して
kawaiiカードたちはこんなにすてきな女の子たちなんだと洗脳 教えてあげてほしい。
スタン落ちしてるけどな!!!
蛇足
諸兄に伝えておきたいことがある。僕は「イニストラード」の世界観が好きだ。
人類歴史上最も古典的でスタンダードな、王道のファンタジーが伝えようとしてきたものを内包しているからだ。
人間全体の思想や理想・理念を表現したり説明したりすることよりも、
1つの存在が自身を取り巻く舞台に対しての感情がよく描かれているように思う。
意図されているのか、あるいはホラーという題材がそうさせるのかもしれない。
Magicの世界観や読み物、舞台設定は共通してそういった理念を持っているようにも感じる。
大きくて壮大なストーリーは必要だ。
でも登場人物たちの個人的な小さな物語にこそ、人間の感情は色濃く投影される。
イニストラードをはじめとしたMagicの世界観をひも解いていくと、感じるんだ。
ファンタジー作品の良さってそれなのかもしれないと。
興味が沸いたら、この記事に併せて聖トラフトのストーリーにも是非触れてみてほしい。
天使と呼ばれる存在が単なるクリーチャーではなく、人間と同じく愛着を持てるクリーチャー・タイプであるように感じるようになるかもしれない。
《聖トラフトの霊》 (1)(白)(青)
伝説のクリーチャー — スピリット(Spirit) クレリック(Cleric)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
聖トラフトの霊が攻撃するたび、タップ状態で攻撃している、飛行を持つ白の4/4の天使(Angel)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。戦闘終了時に、そのトークンを追放する。
2/2
参考ページ
- 《Angel of Flight Alabaster / 空翔ける雪花石の天使》(Wisdom Guild)
- 聖者、幽霊、そして天使(mtg-jp.com)
- 信仰の現状(mtg-jp.com)
- 守護者、魔女、そして天使(mtg-jp.com)
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かわいいシリーズには、毎回、楽しませていただいております。下手の横好きMTGプレイヤー、レベラーという者です。
イニストラードは、私も大好きです。天使も吸血鬼も、やたらとオシャレですし。
「kawaii」天使と言えば、アヴァシンの親友《黄金夜の刃、ギセラ》も、良いと思います。
公式記事によると、ギセラは、アヴァシンvsグリセルブランドの戦いを、近くで見ていたらしいのです。
しかし、アヴァシン失踪後、ギセラがしたことと言えば、人間同様オロオロして、引き籠ることだけ。
パワーが下がったのはわかりますが、もうちょっと働きましょうよ!
てか、味方の攻撃力を倍にするギセラが、アヴァシンに助太刀してれば、アヴァシンはグリセルに、一方的に勝てたのでは!?
《鷺群れのシガルダ》、雪花ちゃんの上司《雪花石を率いる者、ブルーナ》も、特に、目立った動きはしていないようです(レベラーが知らないだけかもしれませんが……)。
乱文&長文の妄想、失礼いたしました。
レベラーさんこんばんわ。
いつも読んでくださってありがとうございます!
ブログも拝見しました。
女の子だけの統率者デッキを作っていらっしゃるとのことで、親近感が沸いてしまいましたw
MTGの面白さって、勝負だけじゃなくてデッキ構築中の楽しさも大きいですよねぇ。
さて、ギセラですか!そういえば居ましたね…注目していませんでしたw
なんで参加しなかったのかは本当に謎ですねー。グリセルに殺される性能でもないし。
グリセルはデーモンなので、倒してしまうと蘇ってくるからかもしれませんが、
能力だけでも発揮していれば、アヴァシンは無事だったかもしれないっすよね…。
(最後にリリアナがグリセル殺してた気もしますが…w)
封印後の天使については、ちゃんと働いてアレだったのかな…と想像しています。
祈りが聞こえないので、目視で場当たり的に回るような非効率的な手段しかなかったのかも。
でも個人的にはレベラーさんの言うように、人間同様引きこもってたほうがグッときますw
その中で働いてる雪花ちゃんがますますkawaiiくなるじゃありませんか……!!!
親友いなくなって仕事にならないギセラさんもとってもkawaiiですし。
けっこう美人さんですしね、あの方w